
中国の「年画」というものは、日本で言えば「版画」に相当するものです。
作り方も日本とほぼ同様です。
中国には「中国三大年画」と呼ばれるものがあります。
「天津の楊柳青」「蘇州の桃花塢」そして「山東の楊家埠」です。
楊家埠の年画は中国国内ではとても知名度があります。
600年を超える歴史を持っており、古代から伝わってきている版画や図面が多数現存しています。
2006年に、「国家級非物質文化遺産(日本でいう無形文化遺産)」に登録されています。
楊家埠という場所は、一言でいえば田舎の農村ですが、中央通りには両側に凧と年画のお店がずらりと並んでいる、
というちょっと変わった土地です。
(楊家埠は凧も有名で、国際的な博覧会が開催されたこともあります)
ここで作られる年画、何処からか工芸師が来て作成しているのかというと、そうではありません。
楊家埠の年画は、現地に住む農家の方たちが作り出したものです。
本来の年画は、旧正月(春節)の大晦日に当たる時期に毎年どの家でも購入するものでした。
「有銭没銭買画過年」(お金があっても無くても年画を買って年越しする)
という言葉があるほど、どの家庭でも必ず買うものです。(日本で言う鏡餅みたいな感じ)
貧しい家庭でも何とか買えるくらいの金額で、とても庶民的なものなのです。
前年に購入した年画は燃やして天に返し、新しい年画を家の中の台所などに貼ります。
年画には神様が描かれているものも多く、燃やすことで天に送る、という意識があります。
こうして、また新しい一年の平安を願うのです。
こういう年画で有名な場所「楊家埠」が、冒頭で触れた「中国三大年画」に挙げられているのです。
楊家埠に住む人々の多くは年画作成に携わっているので、代々伝わる木でできた版画木版(原版)が
各家庭で大切に保管されたりしています。
場所によっては明(14~17世紀)や清(17世紀~19世紀)の時代の木版も現存していますが、
反りやヒビなどの経年劣化があるため、現在も使用できる明・清代の木版はとても稀少です。
楊家埠の年画全般に言えることは、元々農村の人々から作られた工芸品なので、民芸品にとても近い性質を
持っています。繊細というよりも純朴・大胆という雰囲気です。
また、年画の絵の種類が多岐にわたるのも特徴です。
神様を描いたもの、花鳥や山水、神話上の伝説、京劇の人物、美人画など、とても多彩です。
ただ、色々な題材を使ってはいますが、一家の繁栄や平安を願って描かれるものが多いのも特徴で、
これは、(決して裕福ではない)一般庶民の生活を反映しています。